口腔外科とは
口腔外科とは、口の中(口腔)や顎、顔面などの疾患を扱う診療科目です。具体的には、交通事故やスポーツなどの外傷、顎変形症ならびに唾液腺疾患などの外科的疾患のほか、口腔粘膜疾患、神経性疾患、口臭症などの内科的疾患を診療いたします。
当院では、主に親知らずの抜歯や外傷の処置などを行っております。
こんなときはご相談ください
- 奥歯を噛むと痛い、歯茎が腫れた
- 口の中や舌のできもの(腫瘍や水ぶくれのようなもの)、口内炎
- 口や顎の外傷(唇や頬などの顔のケガや、口の中の切り傷、歯、歯槽骨が折れたなど)
など
診療する主な対象疾患
親知らずの抜歯、口の中の腫瘍や嚢胞と呼ばれる膿の袋の摘出、顎変形症と呼ばれる顎の骨の手術、口唇口蓋裂の治療、口の中の感染症の治療、歯肉癌や口腔癌の治療 など
口腔外科で扱う
代表的な症状・疾患
親知らずの抜歯
親知らず(智歯)は、手前にある歯と同様に正しく生えていて、しっかり噛むことができれば問題無いのですが、例えば横に生えたり、生え切らなかったりする場合がほとんどです。そうなりますと、萌出時の疼痛に悩まされるほか、きちんと歯磨きをすることができずに虫歯や歯周病になる可能性が高くなります。そのような親知らずは、抜歯した方が得策と考えられます。親知らずが気になりましたら、一度ご相談ください。
埋伏歯の抜歯
埋伏歯とは、骨または粘膜の中に埋もれて、出て来られない歯のことです。
埋伏歯は、その埋伏している状態によって3種類に分けられます。ひとつは完全に埋まっている状態の「完全埋伏歯」、2つ目が歯の一部分が見えている「不完全埋伏歯」、もうひとつが親知らずが真横を向いて埋まっている「水平埋伏歯」です。このような埋伏歯の原因の多くは、歯が生え出すのに必要なスペースがないことによるものです。
埋伏歯があると、歯が押されて歯並びが悪くなったり、永久歯が生えてこられなかったり、また嚢胞(水ぶくれのようなできもの)の原因にもなります。親知らずが不完全埋伏歯の場合には、親知らず周囲の歯茎が炎症を起こすこともあります(智歯周囲炎)。
埋伏歯がある場合は、問題が無ければそのままにして様子をみることもありますが、歯を覆っている骨を削って埋伏歯が生えてくるように誘導したり(開窓療法)、埋伏歯を牽引して矯正したりするケースもあります。親知らずが埋伏している場合には、多くは抜歯を行うことになります。
口の中の外傷
口を何かにぶつけてケガしてしまったような時は、早めに当院の口腔外科をご受診ください。唇や粘膜が切れた場合は、そこから細菌などが侵入して感染する(病原体が寄生して増殖を始めること)恐れがありますので、早めに処置する必要があります。また、ぶつけて歯が抜けてしまったような場合や、グラついていた歯が抜けてしまったような場合も、すぐにご受診いただければ、早急の処置により歯を残せる可能性があります。抜けてしまった歯は軽く水洗いして(根元を強くこすらないように注意してください)、ご来院までの間、何らかの容器に牛乳を注ぎ、その中に入れてお持ちください。
顎関節症
顎関節症は、あごが鳴る、口が大きく開かない、あごが痛むといった症状が慢性的に続く症状で、20~30代の若い女性に多く見られます。
主な原因は、複雑でかみ合わせが悪い、歯ぎしりや歯をかみしめる癖、ムチ打ちなどの外傷、ストレスなど、様々な要因が重なって強い力があごの関節にかかる場合に起こると言います。
治療に関しては、通常であれば鎮痛薬の規則的な服用で関節内の炎症を鎮めるとともにスプリントといわれるプラスチックの板を歯列全体にかぶせる保存的な治療が一般的です。そのほかにも、口を開いたり、顎を動かしたりする訓練を行う運動療法、関節円盤(顎関節のクッション役をしているコラーゲン組織)を正しい位置に戻すマニピュレーション法、顎関節症を誘引する癖や習慣を止めさせる認知行動療法などがあります。
歯性上顎洞炎
歯性上顎洞炎とは、歯の病気が原因で上顎洞(副鼻腔)に細菌が感染し、上顎洞に膿がたまり(蓄 膿症)、歯の痛みや頭痛などの症状が出ることを言います。上顎洞は上の歯の奥歯の根の近くにあるので、奥歯の虫歯菌や歯周病菌が上顎洞に入りやすいため、歯性上顎洞炎になります。
治療法は原因によって様々です。まず、虫歯からの感染の場合は抗生剤と痛み止めの服用で対応できますが、重度の歯周病からの感染の場合などは、歯周ポケットを浅くする ための処置や歯が歯周病でとけてきている場合は抜歯が必要になることもあります。
歯根嚢胞
歯根嚢胞とは根の先につくられた膿の袋のことで、歯の神経が死んでしまうと神経が入っていた空洞に細菌が繁殖し、毒素や細菌が根の先から顎の骨に出され膿の袋ができます。症状が無いことも多いですが、放置していると痛みや腫れが出るほか、蓄膿症など体に大きな影響まで出てしまうことがあります。
症状としては、歯茎に白いおできのような物ができる、噛むと痛みを感じる、急に歯茎が腫れ激痛が走るといったようなものがみられます。治療法としては、感染根管治療をはじめ、歯根端切除術、再植術と歯根端切除術の組み合わせといったことが行われます。
ドライマウス
ドライマウスは、口腔乾燥症とも言われ、口の中や喉の渇きを主訴とする症状が現れます。唾液腺を含む外分泌腺は性ホルモンの影響を受けるため、更年期の女性に多く発生します。
軽度では主に口の中のネバネバ感、虫歯、歯垢や舌帯の増加、それに伴った口臭も現れます。重度になり唾液分泌量が低下し口腔内の乾きが進行すると、強い口臭、舌表面がひび割れ、割れた舌の痛みいわゆる「舌痛症」で食事がとれない摂食障害、 会話時にしゃべりづらいなどの発音障害も現れます。さらに自己免疫の異常(自己免疫疾患)によるものをシェーグレン症候群といい全身に様々な障害を引き起こすことがあるので注意が必要です。
このような症状を起こす原因としては、薬の副作用、ストレス、糖尿病などの慢性疾患など様々で複合するケースもあります。根本治療は難しいとされていますが、治療としては生活改善や対処療法が中心になります。